国際相続をお考えの方

海外資産の相続

日本社会の国際化に伴い相続も国際化しつつあります.国際結婚、移住、海外赴任は身近な存在となり、資産は国際化し、相続のグローバル化も必然的な存在になっています.では、国際相続の状況はどうなっているのでしょうか.日本では、十分な情報がなく海外に財産を残すことが相続人にとってかなりの負担になっています.以下に事例と事前対策を簡素にまとめまております.これからの参考にしてください.また少しでも不安なことがあれば躊躇なく士業にご相談ください.

国外資産を持つ日本人の増加に伴い、相続トラブル数は増加中

海外資産をスムーズに相続したいが、手間・時間・費用が掛かるのが現実.下記の事例のように海外に財産を残すことが相続人にとって負担となっています.生前の早い時期に日本へ財産を送金したほうが相続対策として喜ばれるのも現実です.

  • 海外不動産の名義変更手続きは、ひと筋縄ではいかないケースがほとんど
  • 良かれと思っている海外相続財産も結果的に家族のお荷物になっているケースも散見
  • 各国・地域でことなる複雑な相続税への対応に苦慮して塩漬けになるケースも珍しく無い
  • 海外資産の全てを把握することも難しい

< 国税庁発表資料 >
国外財産調書から海外資産の状況|総財産額 5兆6364億円 令和3年12月31日時点

国際相続の必要書類と生前対策

まずは全ての海外資産を調べることから始まり、財産評価、国内外の税務対応をする.下記に国外資産の相続の知識として知っておきたい4項目を紹介.必ず必要となる事柄なので注意ください.

1.国際相続の手続きには公印確認された書類が必要

国際相続には、世界共通ルールはなく、各国・地域の法律に沿った手続と書類が必要.そのため日本の外務省はこれに対応する法律を整えています.それが「公印確認・アポスティーユ」.所在地国の求めに応じた必要書類の作成利用を提供.例えば宣誓供述書や出生証明書はその代表的な書類.

2.亡くなった方の所在地国がどこに該当するのか確認が必要

所在地国籍の相続法に基づき手続きをするため、所在地国の確認が必要.国際相続には大きく2種類に分けられる.

  • 相続統一主義|大陸法系の国 ヨーロッパの国々
  • 相続分割主義|英米法系の国 イギリス、アメリカなど

3.国際相続への生前準備のすすめ

  • 公正証書遺言を作成した上で、「公証確認・アポスティーユ」を利用する.外国籍の方であっても公正証書遺言の作成は可能
  • 例えば米国財産を所有していればジョイント・アカウント[共有名義]化してプロベートを避ける工夫も必要

4.米国の相続 プロベート手続き

原則、米国では相続財産を相続人が引き継ぐ場合、プロベートと呼ばれる裁判所[以下、プロベート]の監視下のもと遺産手続きを行う必要がある.長期的な時間と費用を要する.少なくとも1年以上、複雑なケースでは10年近くかかるケースもある.

公印確認・アポスティーユ

日本の官公署・自治体等が発行する公文書に対する外務省の証明のことです.外国での各種手続き[婚姻・離婚・出生,査証取得,会社設立,不動産購入など]のために日本の公文書を提出する必要が生じ,その提出先機関から,外務省の証明を取得するよう求められた場合,また日本にある提出先国の大使館・(総)領事館の領事による認証[=領事認証]取得に際して要求された場合に必要になります.よって,外国の提出機関あるいは駐日大使館・(総)領事館が求めている場合のみ申請をして頂くことになります.|外務省HPより

外務書HPより「公証確認・アポスティーユの手続き」

世界の相続法体系は大きく2種類 英米法系と大陸法系

< 英米法系 >

英米法系の国は「相続分割主義」を採用.不動産については不動産の所在地国の法律.これ以外の動産は被相続人の国籍または最終住所地の法律を適用.

例|イギリス、アメリカ、オーストラリアなど

管理精算主義

亡くなった人が有していた全ての権利義務が裁判所により選任される人格代表者に一旦帰属する.人格代表者が相続財産を管理し、債務については支払を行なった後にまだ財産が残っている場合のみ、相続人の財産分配する方式.

< 大陸法系 >

大陸法系は「相続統一主義」を採用.相続財産の種類によって適用される法律を区別せず、統一的に被相続人の国籍または最終住所地の法律を適用.

例|ヨーロッパの国々

包括承継主義

亡くなった人が有していた全ての権利義務が、相続人に包括的に移転.相続人はマイナスの財産についても相続する可能性がある.

国際相続の書面づくりを支援

弊社では、国際相続の書面作成をサポートしております.公正証書遺言の準備から公印確認・アポスティーユまで対応.海外資産の円満相続をお手伝いします.国際相続でお困りの際は当社へご相談ください.